容量1.8倍/伝導率最大3.8倍で世界最高性能の全固体電池開発

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東京工業大学などの研究グループがAIを使って全固体電池の性能を大幅にアップしました。正極の電極面積あたりの容量がこれまでの1.8倍、リチウムイオンの伝導率が最大で3.8倍となり、いずれも世界最高性能を達成しました。

 

固体電解質は、液体電解質電池と競合できるように開発されていますが、電極との良好な接触を確保することにはまだ課題があります。そのため、実際に使用できる電極の厚さが制限されています。Liらは、高エントロピー材料の原理を応用して、追加要素を部分的に置換することで既存の電解質の性質を改善しました。著者らは、固体電池アプリケーションに必要な高いイオン伝導性を提供するカソード構造にその材料を組み込むことを実証しています。—MSL

要約 現行のリチウムイオン電池の性能とバッテリー構成の限界を拡大し、液体電解質を置き換えるだけの高いリチウムイオン伝導性を持つ固体電解質を生産するための設計ルールはまだ確立されていません。高エントロピー材料の特性を活用して、既知のリチウム超イオン伝導体の組成複雑性を増加させることで、イオン移動の障壁を取り除きながら超イオン伝導のための構造フレームワークを維持することで、高いイオン伝導性を持つ固体電解質を設計しました。合成された組成複雑性のある相は、改良されたイオン伝導性を示しました。この高い伝導性の固体電解質により、室温で厚いリチウムイオン電池カソードの充放電が可能となり、従来のバッテリー構成を変える可能性があります。

 

※引用元 ●論文:Science(2023) Yuxiang Li, et al. A lithium superionic conductor for millimeter-thick battery electrode https://www.science.org/doi/10.1126/science.add7138